書き下ろしSS

生したら最強種たちが住まう島でした。この島でスローライフを楽しみます 7

レイナの収納魔法にはなにがある? ⑦

 以前、レイナの写真を見て、ふと思ったことがある。
 ――俺も、この島で起きた思い出とかを写真に残したいな。
 思い立ったが吉日と、レイナに相談すると少し困った顔をした。
「魔導カメラは持ってきてるけど、現像する手段がないのよ。あれって専門の魔法使いがやってるから、結構高価だったし……」
「そっかぁ……」
 もしこの島に現像出来る人がいたら、俺もコピー出来たのかもしれないけど、レイナもその知識はないらしい。
というか、当たり前だよな。俺だってスマホとか機械は使えても、その原理とか知らないし。
 残念、と思っていると遊びに来ていたマーリンさんがぽつりとこぼす。
「現像なら、出来るわよ」
「え?」
「その現像魔法の理論を作ったの私だし」
「そうなの⁉ あ、でもたしかにマーリンって結構論文とか出してたわね……」
「年間で出してたペースは貴方ほどじゃないけどね」
 考え込むレイナに、マーリンさんは苦笑する。
 魔法使いにも学会とかあるんだ。
 話を聞く限り、二人とも相当権威をもってたのがわかる。
 この島にいて身近になりすぎたけど、大陸じゃ凄い人たちだもんなぁ。
「と、現像の話だったわね。私は理論作っただけだし、専門にして仕事にしている人たちに比べたらうまく出来ないかもだけど」
「それでも十分ですよ!」
「じゃあレイナ、カメラ貸してくれる? 今入ってる分を現像出来るか確認してくるわ」
 そう言ってマーリンさんはカメラを持って家を出る。
 カメラを現像出来るようになったら、それを持って色んなところに行こう。
 スノウやルナたちが遊んでいるところを撮っても良いし、カティマたちアールヴの村も凄い良い写真が撮れそうだ。
 なにより、やっぱり家族や友達とみんなでその日あった記憶を残せるっていうのは、とても良いことな気がする。
「楽しみだなぁ」
「大陸じゃ、カメラって貴族とかお金持ちの趣味だったんだけどね」
「俺の世界でもカメラを趣味にしてたり、仕事にしてる人は結構いたよ」
「なんとなく、アラタの話を聞いていると凄い写真とかが撮れそうね」
「うーん……」
 俺自身がカメラに詳しいわけじゃないけど、たしかに普通の人間じゃ絶対に撮れないような場所も、機械とか使って撮れた。
 だけど……。
「この島の光景は、絶対に負けてないと思うなぁ」
 なにせどれだけ科学が発展しても、地球じゃ本物のドラゴンの写真なんて撮れないしね。
 玩具で遊んでいるスノウを後ろから抱っこして、膝の上に乗せる。
「ぱぱ? どうしたの?」
「今マーリンさんがカメラを使えるようにしてくれてるから、終わったら一緒にいっぱい写真撮ろうね」
「しゃしん……? ちっちゃいままの……」
「そうそう」
「おもらし!」
「それは忘れなさい!」
 元気いっぱいに笑うスノウのほっぺを押さえて、レイナがちょっと怒ったように言う。
 まあ本気じゃないのはわかっているからか、スノウは全然怖がらないけど。
「ティルテュちゃんたちともいっしょがいい!」
「そうだね。カメラを使えるようになったら、みんなで色んなところに行って、楽しい思い出をたくさん残そっか」
 神獣族も、古代龍族も、鬼神族も、他のみんなも一緒にね。
「楽しみだなぁ」
「ねー!」

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