書き下ろしSS
私、能力は平均値でって言ったよね! 21
「男装」
「男装コンテストをやりましょう!」
お茶の時間に、突然何やら言い出した、マイル。
皆、今更マイルの突拍子もない言動に驚いたりはしない。
……慣れた。ただ、それだけのことである……。
「何よ、いきなりワケの分からないことを……」
そして、いつも突っ込み役は、レーナの担当である。
「いえ、この前の王宮でのパーティーで、男装のメーヴィスさん、大モテだったじゃないですか!
そこで、私達も男装すればモテるんじゃないかと思って……」
「「「「「「あ〜……」」」」」」
みんな、マイルの考えが分かってしまった……。
そして、この手のことでマイルが退くことはないし、大して被害を被るわけでもない。
なので、いつもの通り……。
「……ハァ、分かったわよ……」
了承されるのであった。
* *
「第1回、クラン男装コンテスト~! ドンドン、パフパフ!!」
「……第2回もあるのかい……」
司会役を務めるらしきマイルの開会宣言を聞いて、審査委員長、と書かれた名札を着けたメーヴィスが、全てを諦めたかのような顔で呟いた。
マイルの胸には、司会、と書かれた名札が着けられている。
どうやらこのふたりは運営側であり、出場者ではないようであった。
「まず、先頭打者はモニカさんです。どうぞ!」
どうぞ、と言われても、別にステージに上がるわけではない。
マイルが大声で2階に向かって叫ぶと、自室から出て階段を下り、居間にやって来るだけである。
そして審査が終わった者は、そのまま着席して、以後の審査の観客となる。
「モニカさんは、ええっと……、『ごく普通の、平民の男の子』って感じですかね……。
メーヴィスさん、採点はメモするだけで、点数と講評は最後にまとめてお願いしますね」
「……もう、好きにして……」
「次は、オリアーナさんです! ……ええと、『お兄さんのお下がりの服を着ている、田舎村の女の子』って感じで……、アウト! どう見ても女の子にしか見えないから、失格です!!」
「…………」
「次は、マルセラさん! ……ひと言で表すと、『男装して、邸をこっそりと抜け出して町に遊びに出た、貴族の御令嬢』! ゲッツー! ダブルプレイですよっ!!」
「マイルさんが言っている単語の意味が分かりませんわよ……」
「あれはマイル語だから、気にしなくていいですよ……」
マルセラに、マイルの言葉はスルーするよう勧める、オリアーナ。
「そしてお次は、ポーリンさん……、胸が全然隠れてませんよっ! 危険球です、ビーンボールですよっ! トリプルプレイで、失格ですよっっ!!」
「……もう、意味が分かりませんわよ……」
「そして最後は、レーナさ……ん……」
「「「「「「…………」」」」」」
居間に入ってきたレーナの姿を見たマイルの言葉が止まり、全員の口が、ぱっかりと開いた。
皆の目に映ったレーナは……。
半ズボンに、サスペンダー。気の強そうな表情に照れと羞恥が交じって、もう、意地っ張り系ショタとして、破壊力抜群……。
「……ぐはぁ!」
「は、反則ですわよ、こんなの……」
「「あわわわわ……」」
血を吐きそうな顔で頽れるマイル、呆然とするマルセラ、そして狼狽えるモニカとオリアーナ。
メーヴィスとポーリンは……。
「……知ってた」
「知っていましたよ、勿論……」
どうやら、レーナのその方面の素質を察していたようである。
「さすがメーヴィスさん、同類は分かるのですね……」
「誰が同類だよ! そして、何の同類なんだよっ!」
マイルの言葉を必死に否定する、メーヴィス。
そして……。
「ポーリンさん、さすがブラコンのショタコン! その御慧眼、恐れ入りました……」
「誰がブラコンのショタコンですかっ!!」
『にほんフカシ話』によって既にそれらの言葉の意味を知っているポーリン、檄おこである。
「……では、メーヴィスさん、採点結果の発表を……」
「ちょっと待ちなさい。その前に、やることがあるでしょう?」
「え? 何のことですか?」
ぷるぷると震えているレーナの言葉が、理解できない。そんな様子のマイルであるが……。
「あんたの男装よっ! さあ、みんな、やるわよ!」
「「「「「お〜〜っ!!」」」」」
手際よくマイルを拘束し、予め用意していたらしき男装用の衣服や小物を取り出すクランメンバー達。
「……え? 皆さん、いったい何を? え、ええっ……、あ~れ~!」
そして、数時間に亘るマイルの着せ替え人形ショーが始まるのであった……。







